佐藤 正美理事長  


理事長の挨拶

  

 このたび、日本看護診断学会の理事長を拝命することとなりましたので、ご挨拶を申し上げます。
 本学会は、1991年に前身である「看護診断研究会」の発足を経て、その4年後の1995年に、第1回学術大会が開催されました。日本看護診断学会は、「看護診断」という概念を社会に浸透させ、共通用語として「NANDA-I看護診断」の普及に大きな役割を担ってきました。平成13年(2001年)12月厚生に労働省から出された「保健
医療分野の情報化にむけてのグランドデザイン」が出され、電子カルテ普及の達成目


標が具体的に示されました。看護活動の共通言語化へ向けて、さらに看護診断は様々なところで検討され議論されました。
 それから21年が経過し、日本における医療提供体制は大きく変化しました。超高齢化で少子化が進む中、「病院完結型」ではなく地域全体で支える「地域完結型」へ向かい、地域包括支援ケアシステムの構築へ向けて大変革しています。その中で、看護診断の果たす役割は何でしょうか。病棟・外来・地域・職場・学校・在宅など対象者の生活の場で、医療職や介護福祉職とともに、看護職は生活を支える医療専門職として力を発揮することが求められています。多職種と連携して対象者へケアを提供する場合、看護上の問題に焦点をあてて展開する、というよりは、対象者のニーズに沿ったゴールを設定してケアを提供することだと考えます。もちろんこれを実行するためには、対象者の望むより健康な姿(ゴール)を描き、現状とのギャップを看護問題としてとらえ、アセスメントしケアを計画することになります。すなわち、多職種と連携しケアを提供するには、いずれも「看護の思考」である看護診断を必要としています。
 病院では入院期間がますます短縮化し、アウトカム思考で医療が展開しています。ケアを受ける人が気がかりなことや望むことに焦点をあて、その人の持つ力が高まるように看護を提供するには、医学モデルではなく看護モデルの思考が必要です。そのためには、“看護あたま”で対象をみる思考が必要であり、それを支えるのが看護診断だと考えます。看護診断とは、個人や集団の健康状態/生命過程に対する人間の反応、およびそのような反応への脆弱性についての臨床判断であり、看護診断は、看護師に説明責任のあるアウトカム達成に向けた看護介入の選択根拠になるからです。
 このように医療・福祉の体制が大きく変化している中、会員の皆様のニーズはどのようなものでしょうか。理事会では、会員の皆様へ様々な発信をしようと準備をしております。まずは、会員の皆様のニーズを把握するための調査を行う計画を進めております。ぜひ、率直なご意見をお寄せください。なお、様々な情報を発信するツールとして、やはり電子メールが便利です。確実に情報をお届けするために、電子メールの管理を整えてまいります。ご自身のメールアドレスの登録が不明な方は、事務局までご連絡ください。

 私自身、力不足なことも多々あろうかと思いますが、誠心誠意努めてまいります。今後とも本学会へのご支援、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。